【CSV事例】セールスフォース(Salesforce.com)

Posted on 08月 26, 2016

こんにちは、砂川です。

そろそろ夏も終わりに近づいてきています。
皆さまは夏をいかが過ごされましたか?

私は束の間でしたが、故郷でのんびり過ごす一方で
SDGs(持続可能な開発目標)の興隆や、GPIFがESG投資に乗り出したこと、
国際機関が今年定めたSIB(ソーシャル・インパクト・ボンド)の定義に沿った日本初の債権をJICAが発行したことなど
日本そして世界はサステナビリティを軸に、刻一刻と変化していると感じていました。

最近では、FORTUNE誌の「CHANGE THE WORLD 2016」の50社が発表されました。
今回は「CHANGE THE WORLD 2016」について紹介いたします。

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※冊子は2015年のもの

「CHANGE THE WORLD」リストは、大きな社会課題をビジネスにより収益を上げている企業のリストです。

FORTUNE誌によると、年間売上高が10億ドル以上の企業から優先順位をつけ
自社のコアビジネスを通じて社会に良いソーシャルインパクトを創出する企業により構成されています。

選出のプロセスとしては、企業、学術機関、NGOやNPOなどの非営利団体から推薦を募り、
ソーシャルインパクトを創出する非営利のコンサル・ファームであるFSG、
社会を変革するビジネスを探す組織にグローバル・プラットフォームを提供するShared Value Initiativeと
ハーバード・ビジネススクールのマイケル・E・ポーター教授が協働で評価を行っているようです。

評価の測定方法は以下の3の基準です。

1-測定可能な社会への影響:
 独立した情報源を介して、社会課題に対する影響範囲、永続性など考慮し測定。(※このカテゴリはウェイトの比率が高い)
2-業績:
 ソーシャルインパクトの強い戦略は会社に経済的利益をもたらすと考えています。
 収益性とステークホルダーへの価値貢献は、間接的に恩恵を受ける企業のレピュテーションや
 従業員の満足度より重要度が高いです。
3-イノベーション
 業界への影響度、そして業界内の企業にソーシャルアクションを追随する動きを促したか。

社会的価値と経済価値の両方を測定するあたりが、
CSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)を提唱するポーター教授らしいですね。
そして、3つ目のイノベーションの項目で“どのように世界や業界に影響を与えたのか”を測定することが、
まさに世界を変える企業(=CHANGE THE WORLD)のリストだという意図が汲み取れます。

昨年とはランキングの顔ぶれも違うので、実際のランキングはFORTUNEのサイトでご確認頂ければ幸いです。

さて、その中でも私が注目したのは同じテクノロジー系の企業で、
26位にランクインした「セールスフォース(Salesforce.com)」です。

セールスフォースが同ランキングで高い評価を受けたのは“ジェンダー・ギャップによる賃金格差”に対する取り組みです。

ILO(国際労働機関)によると、世界的にジェンダー間の賃金格差は23%と推定されており、
女性が得る賃金は男性の77%となるようです。また、SDGs(持続可能な開発目標)においては
“目標5:ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う”という目標が掲げられており
同社の取組は、グローバルな社会課題に対するものだということが分かります。

同社は300万ドルを投じて世界中の従業員、
約16,000人分の給与を総合的に分析するというコミットメントを発表しています。
現時点で、既に6.6%の従業員(男性と女性の双方)の給与を調整する必要があることを発見しており
研究成果は公けに共有するとも表明しています。
これは業界内にとどまらず、ソーシャルインパクトの影響する範囲が広そうです。

グローバルな社会課題に対してインパクトが大きく、影響の範囲も業界を超えて大きい取り組みです。
それでは、業績にはどのように結びついているのでしょうか?
同社の「Stakeholder Impact Report」に目を通してみると、ジェンダーに関しては下記のように記載があります。

>Salesforceでは、ダイバーシティ(多様性)とインクルージョンは
>すべてのレベルで私たちのビジネスにとって非常に重要であると信じています。
>多様な従業員は、私たちが最も革新的な製品を構築し、顧客やパートナーと効果的に関与するために
>必要なユニークな視点を提供します。
>それはまた、会社を強くすること、顧客の成功を実現すること、社会に恩返しをすること、チームとしての勝利すること、
>優秀な人材を維持するために不可欠です。

エンジニアやプログラマがソースコードを書くことや、
ユニークなアイデアでソリューションを実現させていくソフトウェア業界において、
ジェンダー、およびダイバーシティ(多様性)に対応することで競争優位を高める戦略が、
企業のベネフィットを超えて、経済的価値に寄与するというのは納得がいきます。

ポーター教授のハーバード・ビジネス・レビュー「共通価値の戦略」に書かれている
「競争優位と社会問題の関係」は、この取組を考える上で非常に参考になります。

セールスフォースの取組を知っていく中で、我々も同じソフトウェアを開発するICT業界の一企業として
見習っていきたいと感じました。

社会からの何を求められているか?
社会課題を起点としたアウトサイド・インの観点から、会社の制度や仕組みを見直し競争優位に繋げることができれば
社会価値と経済価値を同時に創出するができそうです。

例えば、一行のソースコードがあるとします。
そのソースコードは、
ジェンダー、国籍、宗教、性的指向などに関わらず
誰が書いても、良いコードは良いコードであり、価値は同等だと私は思います。

誰もが平等に評価され、成長し、チャンスを得ることができて
なおかつ、それがお客様や、社会にも良い影響を与える企業を目指していこうと思います。

今回は、ジェンダー・ギャップによる賃金格差とセールスフォースの取り組みをCSVの事例として紹介しました。
同一労働同一賃金には様々な意見があり、私個人・会社としても思索を重ねているところです。
皆様には、1つの取り組み事例として興味を持って頂ければ幸いです。


採用情報
  • Profile

    代表取締役 砂川 和雅
    【1977年生 青山学院大学卒】
    2006年に5名で創業したITコンサル企業を、社員120名・売上高12億円まで牽引。
    技術優位とCSVの理念を実現すべく、同社から事業承継してキャスレーコンサルティングを立上。

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