【CSV事例】Sproxil(スプロキシル / スプロクシル)

Posted on 05月 20, 2016

こんにちは、キャスレーコンサルティングの砂川です。

5月10日、11日とニューヨークシティにて、「Shared Value Leadership Summit 2016」が開催されました。

マイケル・ポーター氏をはじめ、マーク・クラマー氏や世界銀行、国連、大手企業から比較的新しいベンチャー企業など

CSVにおける世界のキープレイヤーが集結していたように思います。

その中で気になるテクノロジー系の企業があったので、簡単に調べてみました。

Day1の「The New Generation of Tech-Focused Shared Value」

テクノロジーにフォーカスした共通価値を生む新世代というセッションに参加していた

Sproxil(スプロキシル / スプロクシル、以下Sproxil)という企業です。

Sproxilは2009年に設立された、本拠地をアメリカ マサチューセッツ州に置く新しい企業です。

Sproxilが解決する社会課題は、偽造医薬品の販売・阻止によって、主に途上国の人々の命を救う事です。

世界税関機構の調査によれば、2015年現在で年間2,000億ドルの偽造医薬品が販売・流通されており、

偽造医薬品のためにマラリアや結核などで年間70万人の人々が命を落としているという背景があります。

偽造医薬品は、コーンスターチやチョークなど無害ですが有効成分ではないものから

重金属、動物の骨、着色料や体に有害な物質などを材料に、衛生管理がされていない場所で製造されているようです。

しかしながら、薬やカプセルの形状・包装はパッと見たところ、正規の医薬品との見分け方が難しく

多くの偽造医薬品が出回る要因となっています。

そこで、Sproxilはモバイルを利用した、消費者と製品、およびサプライチェーンを

偽造品から保護するソリューションを提供しています。

医療業界ではGSK(グラクソ・スミスクライン)やジョンソン・エンド・ジョンソンが導入しており、

現在では農薬などの農業関連産業、 自動車部品、スキンケア用品から飲料業界など多岐に渡り製品を保護しています。

仕組みは、製品にスクラッチ印刷を施したPINナンバーがプリントされており

銀色のスクラッチを削るとあらわれるPINナンバーを、モバイルのSMSメッセージで特定の宛先に送付することで

正規品であるか偽造品であるかチェックできるというものです。

Sproxil_system_phone_response

Photo by Wikipedia

返信は非常にシンプルで、「OK」か「FAKE」の回答とともに

簡単な製品情報とメーカーの情報が記載されています。

そこで、もし気になることであれば24時間365日稼働しているコールセンターに
電話するとオペレーターが対応してくれる仕組みもあるようです。

Sproxilではその情報を蓄積し、“どこで偽造医薬品の通報が多いか?” という
社会課題の根本的な原因も探る手助けをしています。

実際にGSKでは115,000のユニークユーザーが照合を行い、90%が正規品であることを確認できた上、

2.5%の偽造医薬品に対する警告等の報告を受けることができたようです。

GSK以外でも、この仕組みを利用して既に100万人以上の消費者(患者)が正規品の照合に成功しています。

この取組は、ウォールストリートジャーナルやCNN、ニューヨークタイムズをはじめ様々なメディアに取り上げられ

最近ではアメリカのビジネスやイノベーションに特化したビジネス誌“ファースト・カンパニー・マガジン”の

世界で最も革新的な企業50の医療分野で1位、総合で7位という高い評価を得ています。

事業展開地域もガーナ、ケニア、インド、ナイジェリアと拡張し、経済的にも急速な成長を遂げていることが分かります。

最後に簡単にまとめると、Sproxilが事業活動を行うことで

  • 多くの人々が偽造医薬品のリスクを低減し、健康を改善することができる
  • その結果、社会全体の医療費も低減
  • メーカーや製造業者のサプライチェーンを保護することで、偽造品への対策・生産性コストを削減することができる

という社会価値と、同時に顧客の経済価値を同時に創出することに成功しています。

そして、Sproxil自身もこれら製薬会社やメーカーからの収益をベースにIT投資を継続し、

前述の社会課題を解決しながら、偽造医薬品や偽造品を市場から締め出しを事業を通じて推進しています。

すなわち、経済的価値と社会的価値を両立するCSV的なビジネスモデルといえそうです。

弊社の事業にも、国内の医薬品関連のプロジェクトを手掛けており

そのような背景から今回はSproxilを取り上げさせて頂きました。

最後まで拝読ありがとうございました。

(参考文献・URL)

SOLUTIONS FOR EMERGING MARKETS

http://healthmarketinnovations.org/sites/default/files/Sproxil%20Solutions%20for%20Emerging%20Markets.pdf

(BCtA)BUISINESS CALL TO ACTION

http://www.businesscalltoaction.org/wp-content/files_mf/sproxilcasestudy2.23.2012forweb17.pdf

Youtube:Combatting the Counterfeit Drug Trade: Ashifi Gogo at TEDxBoston

https://youtu.be/4ZIwOoaCPxI Wikipedia https://en.wikipedia.org/wiki/Sproxil

Sproxil

https://sproxil.com/home


採用情報
  • Profile

    代表取締役 砂川 和雅
    【1977年生 青山学院大学卒】
    2006年に5名で創業したITコンサル企業を、社員120名・売上高12億円まで牽引。
    技術優位とCSVの理念を実現すべく、同社から事業承継してキャスレーコンサルティングを立上。

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