【CSV事例】タタ・グループ(TATA Group)

Posted on 01月 21, 2016

こんにちは、砂川です。

皆さん、昨年はどんな一年だったでしょうか?

弊社は、CSV事業戦略の推進、新人事給与制度の導入、各種セキュリティ・品質認証の取得など、
おかげさまで多くの分野で成長を遂げることができました。
今年も、CSVのリーディングカンパニーとして基盤を固めていきたいと思っています。

さて、2016年最初のブログとなる今回は、インドで古くからサステナビリティを実践している
タタ・グループについて書いてみたいと思います。

CSVで経済的価値と社会的価値を両立させていく上で、サステナビリティは重要な要素です。
本記事では、タタ・グループの2社を取り上げ、どのように社会課題と関わり、
競争優位性となっているか見ていきます。

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Photo by Karoly Lorentey

タタ・グループは、インドで最も大きな財閥の一つとして有名で、関連企業は100社以上あります。
タタ・モーターズの低価格車『ナノ』の事例は有名ですね。

そんなタタ・グループの創業は1868年(日本では明治元年)。
綿貿易の会社としてボンベイ(現在のムンバイ)で設立され、事業の成長とともに多角化、
1907年にはタタ・スチールという製鉄会社の設立に至っています。
このタタ・スチール、今から100年以上も前の1912年にインドで初めて1日8時間労働を導入しています。

国際労働機関(ILO)が「1日8時間、週48時間」の国際的労働基準を
確立したのが1919年という事を考えると、昔から従業員を大切にする姿勢が窺えます。
また、これに続いて1920年には有給休暇制度、1934年には利益分配賞与制度など
近代的な福利厚生も整えています。

すなわち、100年近い昔から従業員が安心して働ける雇用条件を整備し、
労働力を持続可能なものにしていました。

時代は進んで1975年。

タタ・グループの商社機能を持つタタ・インターナショナル(TATA International : 以降、TIL)が
設立されます。
TILは、設立した工場の地域であるデワースにおいて福利厚生や雇用を通じた社会課題の
改善に取り組み、女性の暮らしを著しく変えてきました。
デワースでは、伝統的に女性は満足な教育も受けることもできず差別的な立場に置かれていました。

女性を男性の目に触れさせないため、パルタと呼ばれる顔を覆うベールを着用するほど
保守的な地域であり、女性の地位は低く社会への進出も難しいものでした。
そのデワースで革製品を加工する工場を設立したTILは、手先の器用な女性を
積極的に採用していきます。

そして、採用した女性の従業員に対して業務に関わる研修を行って技能を高め
女性でも仕事を行えるということを社会に証明し、数年間かけて女性の地位を高めていきました。
また、工場の外でも女性自身によってコミュニティが発展するよう、衛生学、栄養学、
資金管理の教育も行いました。

タタ・グループのサステナビリティ報告書によると、今ではTILに努めるデワースの女性は
TILに勤務する以前に比べて収入が向上し、インドではまだ普及していない銀行口座で取引をしたり、
バイクに乗ったり、従来は男性が中心だった生活スタイルを実現して社会や家族からも
尊敬されるようになった、と報告されています。

このように、タタ・スチールやTILの一連の取組はインドにおける「労働慣行」の改善や
「女性の権利不平等」といった社会課題の改善を促し、新しい人材・雇用の市場を創出、
地域に新しい経済圏を創出するという社会インパクトを生み出しています。

これは、CSVのフレームワークにおける「事業展開地域での競争基盤強化」と
サステナビリティに繋がっていると言えるかもしれません。

また、カースト制度もインドの社会課題の一つと言われていますが、
タタ・グループは実力主義であり、人種、カースト制度、ジェンダーに対する
差別がないことを宣言しています。

汚職や賄賂に対してもクリーンなイメージが定着しており、日本など他国の企業が
インドへ進出する際にタタ・グループが提携先として選ばれやすくなるという
競争優位性を生んでいます。

今回は紹介しきれませんが、子どもへの教育という社会課題に対して
学校の建設や本の提供を行ったり、安全な水を確保できない地域のために人口的な湖を作ったり
様々な社会課題に対しての取組も行っています。

このような取組はタタ・グループの従業員のみならず、事業を展開する地域へ社会価値を生み出しており、
それによってファンを増やしています。
その地域でファンが多くなるということは、雇用や事業の持続可能性を向上させると同時に、
企業イメージの向上によって地域での競争を優位に進めるための促進剤になっていると言えるでしょう。

以上、タタ・グループにおけるCSVやサステナビリティについてご紹介しました。

本年も皆さまにCSVに関する情報を皆さまにお伝えさせて頂ければと思います。

遅くなりましたが、本年もどうぞ宜しくお願い致します。

(参考文献・URL)

ブース・アンド・カンパニー マネジメント・ジャーナル Vol.14
http://www.strategyand.pwc.com/media/file/mj14_all.pdf

TATA Group サステナビリティ・レポート
http://www.tata.com/sustainability/articlesinside/The-warp-and-woof-of-sustainability

Wikipedia タタ・グループ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%82%BF%E3%83%BB%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%97


採用情報
  • Profile

    代表取締役 砂川 和雅
    【1977年生 青山学院大学卒】
    2006年に5名で創業したITコンサル企業を、社員120名・売上高12億円まで牽引。
    技術優位とCSVの理念を実現すべく、同社から事業承継してキャスレーコンサルティングを立上。

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