こんにちは。
キャスレーコンサルティング・経営企画部・研究開発担当の西形です。

弊社の新画像処理技術(以下、新技術という)について、全3回にわたって説明をしています。

前回の記事はこちらを参照してください。

さて、第2回目の今回は、新技術の実装について書いてみようと思います。
メーカーのマーケッターや、メーカーの技術者向けに記述していますので、
少し専門的な部分もありますが、ぜひご覧ください。

テーマ1:新技術実装について
テーマ2:新技術に最適化したハードウェアについて

以上、2つのテーマに沿って書いていきます。

【新技術実装について】
アルゴリズムにはあらゆる実装方法があると思いますが、弊社の新技術の場合は以下の理由により、
ハードウェア的に実装する方が得策と考えています。
理由1:計算量が多く、処理速度を優先するため
理由2:アルゴリズムのインプットが少し特殊であるため
これらの理由は将来的には改善されるかもしれません。
例えば、理由1はCPUの高速化、理由2は新しいファイルフォーマットの設計などよって決まる可能性があります。

さて、ハードウェア的な実装方法ですが、例えばオン-メモリーで動作するプログラムであっても、
DSPのように専用プロセッサとしてLSIチップ化されたものの実装であってもよいと考えています。

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図のプログラマブルROM・マスクROMが新技術に対応する部分です。
レンズなどの光学素子は、用途に応じて換装されたり、また年相変化によって劣化したりしますので、
実装後に変更を伴う部分をプログラマブルROMによって随時補正します。

画像を高解像度化する心臓部分は変更することがないためマスクROM化します。
また、新技術は並列処理可能であることが解っており、高速処理が可能です。

【新技術に最適化したハードウェアについて】
新しいアルゴリズムは、時折ハードウェアの改良を要します。
以前、アルゴリズムのインプットが少し特殊である、と書いたことに関連しますが、
弊社の新技術も多少ハードウェアの改良を要します。
まず1つ目は、フォーカスを変化させながら撮影した4フレームの画像が必要であることです。
これを実現するためには、例えば駆動系でフォーカスを制御しながら連続撮影したり、
4眼レンズモジュールで撮影したりすることで解決しそうです。

2つ目は、デジタル化の基準の設定が必要なことです。
コンピュータで扱う画像は必ず、以下の2点に関してデジタル化されています。
デジタル化される量1:平面画像はピクセルによって分割されること。(以下、標本化という)
デジタル化される量2:色調。表現する色の総数。(以下、量子化という)

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図のように標本化と量子化が充分に確保されていなければ画像の認識は困難になってしまいます。
そこで、従来では以下のように標本化と量子化に基準値が設けられています。
標本化基準:画像のぼやけるサイズとピクセルサイズを合せる。
量子化基準:人間が識別できる色の数。
これらの基準によって、私たちはアナログ写真と遜色なくデジタル画像を鑑賞することができています。

これらデジタル化に関して、新技術では上記の基準を以下のように変更します。
標本化の新基準:画像がぼやけていると識別できるピクセル数。
量子化の新基準:人間が識別しきれない色の数。

まず、標本化の基準変更に関して、
新技術は、モザイク画像を鮮明化するように塗りつぶされた1ピクセル解析して
滑らかにする技術ではなく、ぼやけを除去する技術です。

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したがって、新技術では画像がぼやけてしまって価値がないと思っていても、光学ズームで拡大しておく必要があります。

次に、量子化の基準変更に関して、
新技術では、量子化が細かければ細かいほど上手に解析できます。

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量子化は新技術を実用化する上で、非常に需要なキーワードです。
すなわち、「人間が見て識別できない色でも、色数が多いほど美しく復元できる。
従ってアルゴリズムへの量子化インプットは多ければ多いほど良い」となります。」

現在普及しているファイルフォーマットは人間が識別できる色数まで変換しているため、
新技術ではファイル化前の色数の多いメモリー内部データにアクセスする仕組みを採用しています。
※現在普及しているファイルフォーマットから、画像ファイルを高解像度化するのではないことに注意。

上のように、ハードウェアと上手く連携することによって画像処理は実用化されます。

【現状の実装状況】
現在、実用化に向けて以下まで試作が完了しています。
1.プログラマブルROMへ実装予定のプログラム作成
2.マスクROMへ実装予定のプログラム作成
四枚のフレームの画像撮影を、コンピュータ内部でエミュレートして
3.1と2のプログラムの性能確認(←見せている画像はここ)
つまり、現状、できるところは全て完了していることになります。

なお、今後の課題は
課題1:実際に撮影した4フレーム画像がエミュレート値にどれだけ迫れるか。
課題2:課題1の誤差をプログラマブルROM内容の改良で修正できるか。
あと残り僅かな工程で、今まで人類が見たことのない高解像度写真が見れるかもしれません。

実際、社内ではNASAやJAXAが撮影した天体の写真を高解像度化し、
従来の方法では得られなかった恒星の形状データを得ることに成功しています。

みなさんも、何万光年も離れた恒星や惑星の真の姿を見たいとは思いませんか?

さて、次回は、新技術の技術的な背景についてご説明したいと思います。