こんにちは。
キャスレーコンサルティング 仁加保です。

2020年4月19日(日)に予定されておりました、令和初の春期情報処理技術者試験ですが、残念ながらコロナウイルスの影響で中止と発表されてしまいました。
受験に向けてラストスパートをかけている方もいらっしゃったのではないでしょうか。
キャスレーコンサルティング社内からも、早速嘆きの声が聞こえてきている状況です。

ですが、中止が発表されたとはいえ、情報処理技術者試験は秋期や来年以降も続きます。
もう少し学習する時間ができたとポジティブに捉え、次回以降に向けて再出発しましょう。
本記事では、情報処理技術者試験のうち論文試験を受験する方に向けて、その攻略法をお伝えいたします。

申し遅れましたが、私仁加保はITストラテジストを保有しておりますので、本記事ではITストラテジストを例に取ってご説明いたします。

情報処理技術者試験とは?

情報処理技術者試験は「情報処理の促進に関する法律」に基づき、経済産業省がエンジニアの知識・技能を認定する国家試験です。
また、2020年3月現在、日本に数多く存在するIT系資格の中では、唯一の公的資格になります。

試験には難易度に応じてレベル1~4が設定されており、レベル4は「高度試験」「高度区分」などと呼ばれます。
その中でも「ITストラテジスト」「システム監査技術者」「プロジェクトマネージャ」「システムアーキテクト」「ITサービスマネージャ」の5区分では、「論文問題」が出題されます。
たった2時間(※1)の間に「出題内容から2000文字~3000文字の論文を書ききる」という、なかなかハードな試験です。

ただ、ハードではありますが、毎年合格者が出ているのも事実です。
要は「試験で落とされない論文」を書けば合格できるということです。
では早速、論文試験の攻略法を見ていきましょう。(※2)

※1:2時間というと長く感じられますが、実際には時間が全く足りず、個人的にはせめてあと1時間は欲しいところです。
※2:関連書籍等では「論文試験は所詮テクニックである」との記載をよく見かけます。確かにその側面があることは否定しませんが、そもそも「論文テクニック」=「相手から問われたことを自分の言葉で伝える方法」を知らないエンジニアは、「理解力」「読解力」「表現力」等が不足していることを意味します。エンジニアとして高みを目指すからには、単に論文試験に合格するのみならず、「論文」「レポート」「事業計画書」等を書く力をつけることを意識して臨みましょう。

【攻略法1】資格保有者ノ対象者像ヲ把握セヨ

論文試験合格の一番の敵、それは
「そもそも合格しようとしている資格の定義を知らないこと」
です。

論文試験では「あなたがその資格を名乗るのにふさわしい知識・経験・考え方を持っている技術者かどうか?」を問われています。
たとえばITストラテジストであれば、対象者像としてIPAのサイト内に以下の記載があります。
——
高度IT人材として確立した専門分野をもち、企業の経営戦略に基づいて、ビジネスモデルや企業活動における特定のプロセスについて、情報技術(IT)を活用して事業を改革・高度化・最適化するための基本戦略を策定・提案・推進する者。
また、組込みシステム・IoTを利用したシステムの企画及び開発を統括し、新たな価値を実現するための基本戦略を策定・提案・推進する者。
——

つまり
・高度IT人材として確立した専門分野をもっている。
・企業の経営戦略に基づいた活動ができる。
・ビジネスモデルや企業活動における特定のプロセスを改善できる。
・情報技術(IT)を活用して事業を改革・高度化・最適化できる。
・組込みシステム・IoTを利用したシステムの企画及び開発を統括して、戦略的に行動できる。
といった人材が適任であると記載されています。

よって、これ以外の内容を論文に盛り込んでも評価されません。
例えば「スケジュール遅延を取り戻した」「SQLの最適化を行った」「チェック体制を強化した」「プログラマーも兼務した」などは、ITストラテジストとしては評価対象外です。
受験予定の試験区分が求めている技術者像を、事前にしっかり確認しておきましょう。

【攻略法2】問ワレタ事ニ回答セヨ

論文試験で意外と落とし穴になるのが「問題文や設問を読んでいない」というものです。
「いやいや、ちゃんと読んでいるよ」という方、設問文には「論文に盛り込むべき内容がしっかりと書かれている」と認識していますか?

そうなんです。
論文試験の問題文には「これが書いてあれば評価する」というポイントが明記されているのです。
よって、これを書いていない論文は評価対象外です。

では、ITストラテジストの過去問題から、攻略法を見てみましょう。
(令和元年度 秋季 ITストラテジスト午後Ⅱ 問題 問1より抜粋)
——
設問ア あなたが携わったディジタル技術を活用した業務プロセスによる事業課題の解決において、解決しようとした事業課題及びその背景について、事業概要、事業特性とともに800文字以内で述べよ。
——

前述した条件から、この設問では、以下の点さえ盛り込めば「評価」ということになります。
1.ディジタル技術を活用した業務プロセスによる事業課題の解決
2.解決しようとした事業課題及びその背景
3.事業概要事業特性

逆に言えば、この設問では具体的な数字やプログラムの話は評価されません。
問題文が求めている通りに、書けと言われたことを素直に論述しましょう。

【攻略法3】論文ノ骨組ヲ作成セヨ

実際に論文を書き始める前に、必ず論文の骨組を作りましょう。
ただし、論文試験の時間は2時間しかありませんので、思いついた単語をメモ書き程度にしておくだけでよいです。
たかがメモ、されどメモ。有ると無いとでは、論文の書きやすさが違います。
先の設問アの例では、以下のようにまとめておくとよいかもしれません。

事業概要、事業特性

回転寿司、東京・神奈川を中心に約10店舗のチェーン、新鮮さがウリ

事業課題と背景

コストダウンが必須:100円寿司の台頭
廃棄率の問題:仕入れ・物流コストの上昇、大量消費社会に対する企業イメージ

活用する技術

お皿の下にICタグ、ビッグデータとポイントカード連動で顧客ニーズの分析

このような骨組みメモを書いておき、迷ったとき即座に見返せるようにしておきましょう。

【攻略法4】最後マデ自分ヲ信ジテ進メ

冗談のような攻略法ですが、論文試験では文章の「質」「量」ともに求められるため、肉体的にも精神的にも消耗戦を強いられます。
ですが、自分の全てを出し切ることを念頭に置き、事前に万全の準備を整えるとともに、最後まで諦めることなく突き進みましょう。

  • 普段えんぴつやペンで書き慣れていないと、論文を書き始めて30分で指が痛み出します。
  • なるべく負担の少ない筆記具を持ち込むようにしましょう。

  • 多少の誤字脱字は気にせずに突き進みましょう。
  • 読めない、言葉の意味が変わってしまう等の誤字は修正が必要ですが、ちょっとした書き間違いは無視しましょう。

  • 残り時間が少ないにも関わらず、不要な記述に気が付いてしまったら、書き直すより思い切って取り消し線を引きましょう。
  • もちろん修正するに越したことはないので、これは最終手段です。
    ですが、ときには2行程度ばっさり横線を引いて取り消す傲慢さも必要です。

  • 規定文字数よりも内容に注力しましょう。
  • 「○○文字以上で」という設問に怯むこともありますが、合格の絶対条件ではありません。(減点対象にはなると思われます)
    むしろ文字数を増やすために内容を薄めるのは、時間の無駄であるばかりか、論文として非常にもったいないことです。
    事実、私は規定文字数に達していないにも関わらず合格できています(笑)

  • 自分の好きな業種やお店を事前によく調べましょう。
  • 最後に究極の攻略法をお伝えします。
    それは「私の好きな業界がこのような問題解決をしていた」「あのお店はこんなITを活用している」など、意識して世の中を見ておくことです。
    じっくりと世の中を観察すれば、日常生活の中で「自分の経験・考え方を論文にまとめ上げる有効なヒント」が見つかると思います。

    おわりに

    エンジニア界隈では「エンジニアは情報処理技術者資格を取得すべきか?」がよく論争になります。

    本記事をお読みになっているのは、論文試験の攻略法を検索している資格取得意欲の高い方が多いと思いますので、「取得すべき」が多数派ではなかろうかと推察いたします。
    一方で、「エンジニアたるもの、資格を取るくらいなら技術を磨け」と考えるエンジニアが多数いらっしゃるのも事実です。

    キャスレーコンサルティングでは、エンジニアのIT資格取得を「積極的に奨励する」という立場を取っています。
    理由は「ITが、もはや社会的インフラであるから」です。

    例えば医療の場合、医学についてしっかりと勉強を行い、それを医師免許として証明されているお医者さんのみが開業できるからこそ、私たちは安心して受診することができます。
    もしもお医者さんが「資格ではなく実力があればよい」世界の場合、どの医者が一定水準以上の知識・技能を持っているのかと、不安になりながら診察を受けることになります。

    もちろん現時点(2020年3月)の日本には「無免許・無資格ではIT業務に従事できない」という法律はありません。
    よって、無資格エンジニアが業務を遂行すること自体にはなんの問題もありません。
    しかし現代では、情報通信技術は私たちの生活にとって絶対に欠かせないものとなりました。

    その情報通信技術を日常生活で最大限活用できるように。
    またはトラブルが起きた時に適切に対処できるように。
    私たちエンジニア自身が「一定水準以上の知識・技術を保有していること」を証明することは、人々の安心や社会の安全に繋がると考えています。

    この観点から、情報処理試験に臨む全ての皆様を、心の底から尊敬いたします。
    もしも、本記事が皆様の合格の一助となれば、これに勝る幸福はありません。

    以上です。
    最後までお読みいただき、ありがとうございました!

    仁加保
    CSVIT事業部 仁加保
    ITストラテジスト。「医師免許を持っていない医者はいない。同じように技術資格を持ってない技術者はいない。」が理想です。