こんにちは。キャスレーコンサルティングのKです。
普段は営業事務として主に書類作成や請求業務、その他事務処理を行っています。

同じく事務職、営業事務職として勤務されている方は、日々の業務の中で「Excelで管理されたデータをシステムに打ち込む(コピー&ペースト含む)」という作業に追われているのではないでしょうか。

私もその中のひとりで、社員が毎月指定のフォーマットにて申請した経費を管理システムに転記する、という作業に月初の2日間を費やしていました。

そんな中、社内で行われたUiPathの基礎に関する研修を受けたことをきっかけに業務効率化に興味を持ち、実際に自分でシステムを作って運用するに至りました。

当記事は全2回に分け、今回はシステムを利用するにあたり避けては通れない、システムへのログインまでの操作方法を実際に私が作ったシステムを例にご紹介します。
現在エンジニアとして活躍されている方には少々お見苦しい部分もあるかと思いますが、ご容赦ください。

UiPathとは?

UiPathとは、UiPath社が提供するRPA (Robotic Process Automation)プラットフォームです。
事業規模、年間売上などの条件を満たせば無料で利用できること、プログラミングの知識がなくても直感的に操作できることなどから非常に人気が高く、世界的に多くの導入実績を誇っています。

UiPathは、簡単に言えばロボットに「○○をクリックする」「○○を入力する」といった、ブラウザ上で行われる単純作業の指示を覚えさせるものです。

Excel内でのみ動作するVBAやマクロと違い、ブラウザやWEBアプリケーションなどの垣根を越えて、基本的には画面に表示されるものすべてに作用することが可能です。

業務フローが定まっている場合、予めロボットに組み込んだ指示通りに自動で作業が進むことで人間が実際に手を動かす必要がなくなり、業務効率化に多大な効果を発揮します。
そのため、実際に業務の内容を把握している事務職との相性が抜群に良いのです。

実際に私が作成し、運用までにかかった期間としては
 ①研修(基礎的な操作方法の習得)に2時間
 ②業務フローを洗い出し、それを基にたたき台を作る作業に2週間
 ③エラー時の処理や細かい分岐条件の作成に1か月
エンジニアとしての経験がないにもかかわらず、2か月かからずに完成しました。

もちろん普段の業務を行う合間に作っているものですので、集中して作れる環境があれば1か月程度で完成してしまうかもしれません。
「予め用意されたデータを入力する」のみであれば、さらに短い時間で作ることができるかと思います。
それほど簡単で、プログラミングの経験がない方にも親しみやすいものだと言えるでしょう。

実際に作る

 

業務フローの理解

RPAで業務効率化をする場合、まず業務のフローを理解していなければなりません。
私が実際に自動化した「申請された経費をシステムに転記する業務」は以下のフローで成り立っています。
なお、弊社内では株式会社オロの提供するZAC Enterprise(以下ZAC)というシステムを使用しています。

1.Excelなどで、入力する元データを用意する

2.ZACにログインする
  2-1.ブラウザを立ち上げる
  2-2.ZACを開く
  2-3.ID、パスワードを入力する

3.入力画面まで遷移
  3-1.メニューを順次クリック
  3-2.経費申請者のアカウントに代理ログイン

4.必要項目の入力
  4-1.発生日、勘定科目などを入力
  4-2.登録ボタンをクリック

まずは上記のように、業務フローを書き出してみましょう。
この時、「業務の中で実際に自分が行っている動作は何か」を可能な限り細かく書き出すことが重要です。
それでは、書き出した業務を実際にUiPathに記憶させていきましょう。

0.UiPathをインストール

前提として、UiPathをPCにインストールしていなければ作業を開始できません。
こちらから「Community Cloud」をインストールし、起動できる状態にしておきましょう。
※無料版の使用には条件があります。詳細はリンク先にてご確認ください。
なお、今回使用しているUiPathのバージョンは「2020.4.2」です。

1.Excelなどで、入力する元データを用意する

今回は、鈴木さん(仮名)と田中さん(仮名)から経費の申請があった体でデータを用意してみます。
※実際の移動範囲、使用用途とは全く関係ありません。

データの用意ができました。
この時、入力先の項目に合わせて画像の表の1行目のように見出しを作っておくことが必須です。
見出しは自分が見たときにわかりやすいものでも、フォーマットが決まっているものでも構いません。

参考までに、作成したデータはZAC内のこの画面の入力項目に対応させています。

次に、用意したデータをUiPath内で使用できるように変換します。
UiPathでは、動作を指示するためのコマンドのようなものを「アクティビティ」と呼びます。

これはプログラマが使用するソースコードにあたりますが、アクティビティはプログラミング言語とは異なり、ドラッグ&ドロップで直感的に操作できるのが特徴です。
ここで使用するアクティビティと操作方法は以下の通りです。

①UiPathを起動し、メインフロー左上の「新規」から「シーケンス」を選択
 シーケンスとは、UiPathにおいてアクティビティを格納する箱のようなイメージです。

②シーケンスが作成されるので、左のアクティビティ検索欄に「読み込み」と入力
 すると下記のように一覧が出てきます。このようにUiPathでは「何をするか」を検索するだけで動作を指示するためのアクティビティが表示されます。

③赤枠で囲った「範囲を読み込み」をシーケンスの中にドラッグ&ドロップ
 シーケンスや、そこに格納したアクティビティには名前をつけることができます。
 何をさせるためのアクティビティかがわかりやすいよう、こまめに名前を変更する癖をつけましょう。

ここに、更に詳細に何をさせるかの指示を書き込んでいきます。

青枠…読み込ませるファイルの場所を入力
   1.の冒頭で用意したExcelファイルをShiftを押しながら右クリックすると表示される、「パスのコピー(A)」というメニューを使用し、それを青枠の中にペーストします。
   この時「””(ダブルクォーテーション)」で囲まれるので、絶対に消さないようにしましょう。
   UiPathはExcelと同じく、””の中身を文字列として認識します

黄枠…シート名を入力します。この時、シート名は””で囲みましょう。

緑枠…ここではシート全体を読み込むため「””」(空白)を入力します。

赤枠…UiPath内でデータを格納する場所を指定します。
   左側の赤枠では、「変数」を作成します。「名前」は自由に決めて構いません。
   「変数」とはUiPathの中で使用するショートカットのようなものです。
   イメージとしては、Excelのimportrangeで使用するURLをExcelのセルに入力するといったところでしょうか。
   UiPathではセルの代わりに、変数を指定します。

   「変数の型」は、元のデータがExcelのため「DataTable」に設定しました。
   「スコープ」は、どのシーケンスでこの変数を使用するかを設定します。

   右のメニュー最下部に表示されている「出力」内、「データテーブル」の項目に、上で作成したデータテーブルを設定します。
   変数名の入力の際は、変数自体がUiPathのフォーマットで作成されたものなので””は必要ありません。
   これは、Excelでセルを指定するときに””が必要ないのと同じです。

ここまでの操作で「シート読み込み」シーケンス内、赤丸の「!」が消えるはずです。
消えていない場合は何かしらのエラーが発生しているので、もう一度手順を見直しましょう。

これで、作成したExcelファイルをUiPathに読み込ませることができました。

2.ZACにログインする

  2-1.ブラウザを立ち上げる
  2-2.ZACを開く

次はブラウザを立ち上げてZACを開きます。
シーケンスを検索し、ドラッグ&ドロップで「ログイン」の箱を作ります。

ここで使用するアクティビティは「ブラウザーを開く」です。そのままですね。
これをドラッグ&ドロップでログインの箱の中に移します。

左の赤枠の中はZACのURLを入力しますが、こちらも先ほどと同じく文字列として認識させるために””で囲みましょう。

右の赤枠内ではブラウザの種類を設定します。今回はIE(Internet Explorer)を指定しました。

  2-3.ID、パスワードを入力する

使用しているシステムは違えど、「ID、パスワードを入力する」という動作は皆様も頻繁に行っているのではないでしょうか。
UiPathでは、この「ID、パスワードを入力する」動作も記憶させることができます。

ID、パスワードを入力する際に、入力する内容が他人に見えてしまう状況はセキュリティ上大変よろしくないため、Windowsの「資格情報」を使用して入力していきます。

コントロールパネルから「汎用資格情報の追加」を選択します。

「インターネットまたはネットワークのアドレス」は、IDとパスワードのセットにつけるタイトルのようなものです。
この場合は「ZACログイン情報」などに設定します。
ユーザー名(ID)、パスワードを入力すれば資格情報の登録は完了です。

次にWindowsに登録した資格情報をUiPathに取り込みます。
使用するアクティビティは「Get secure Credential」ですが、標準ではインストールされていません。

上部メニューの「パッケージを管理」を開き、左のメニューで「すべてのパッケージ」を選択、「UiPath.Credentials.Activities」を検索し、インストールします。

インストールしたアクティビティを「ブラウザーを開く」アクティビティの下につなげて、右のプロパティではそれぞれTargetを資格情報登録の際のタイトル、Passwordを「PASS」、Usernameを「ID」としました。

これを基に変数を作成します。

「ID」はstring型(文字列)、「PASS」はSecureString型の変数として設定しました。
ログイン時に使用するので、スコープは「ログイン」のシーケンスに設定します。

それでは、UiPathでIDとパスワードを入力してZACにログインしましょう。

ここで使用するアクティビティはそれぞれ上記のとおりです。
「クリック」のアクティビティでは、クリックの種類が「CLICK_SINGLE」、マウスボタンが「BTN_LEFT」、つまり「左クリックを1回」という設定になっています。

これはUiPathの面白いところで、入力するテキストボックスや押下するボタンは、下記の項目を選択すると画面上でスクリーンショットを撮ることで設定ができます。

選択すると画面が遷移するので、入力したい箇所にカーソルを合わせましょう。

ユーザ名のテキストボックスが黄色い枠で囲まれ、しっかりと認識されていますね。

複数のブラウザを開いているなど、選択したい画面が前に出ていない場合は、「F2」キーを押すことで一旦UiPathの操作を止めてブラウザの操作を行うことができます。

これで、ZACにログインすることができました。

前編まとめ

今回、「Excelの読み込み方」「アクティビティの使い方」「変数の設定方法」「ログインの仕方」と、基本的な操作方法をご紹介しました。

これらは特定のシステムだけでなく、普段の業務の中でも汎用的に使用できるものです。
今回だけでは紹介しきれませんでしたが、この記事を読んで興味を持たれた方は、UiPath社が提供しているUiPathアカデミーもご覧になってみてください。

UiPathはこのほかにも様々なアクティビティが用意されており、それらを組み合わせることで反復動作をはじめとした単純作業を自動化することができます。

次回は実際に登録処理、繰り返し処理の操作をご紹介していきます。

余談ですが、RPAは各業界で注目されており、UiPathのようなRPAを導入することにより残業が減る、人の手で行うことによるミスが減るなど、メリットが多くあります。

金融業界ではRPAを導入したことにより大規模なリストラが発生したと言われています。
それだけ人の手を煩わせていた業務が削減されているという意味では喜ばしいことでもあり、同時に失業者が増えるという意味では考えさせられる事例でもあります。

関連して、RPAで業務を効率化したことによって、空いた時間でさらに別の雑用を任されたという話も耳にします。効率化を図ったことで業務量が増えるのは本末転倒というほかありません。

働き方改革が進む中で「ロボットには任せられないこと」ができる人材が求められる一方、実際に創造性、独創性などの「人間らしい価値」を持った方はどれだけいるのでしょうか。
私も何か「これだけは自信があります!」と言えるようなスキルを身に着けたいものです。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

K
CSVIT事業部 K
アニメやゲームを嗜みながら自由気ままに生きるのが夢。とは言いつつも日々スプレッドシートの関数と戦っています。