みなさん、こんにちは。

システムインテグレーション部コンサルタントの豊田です。

今回は、戦略的プランニングやプロジェクト管理に役立つ、バックキャスティングについてご紹介します。

バックキャスティングとは

バックキャスティングとは、スウェーデンの環境NPOであるナチュラル・ステップが提唱するフレームワークに含まれる戦略的プランニング手法の1つです。
バックキャスティングは、はじめに将来成功している未来を描き、次に現在へ立ち戻って今日から何ができるかを考えます。
一方、今日を出発点として、過去のデータや現状分析を積み重ねて未来を見通す手法を、フォアキャスティングと言います。

ソフトウェア開発でバックキャスティング

早速ですが、ソフトウェア開発のプロジェクト計画を立てる場面でバックキャスティングを当てはめてみましょう。

大まかな検討の流れは以下のとおりです。

  1. 制約条件を把握する
  2. 成功している未来(ビジョン)を描く
  3. アクションプランを立案する

1.制約条件を把握する

まず、ソフトウェア開発における品質、コスト、納期、リソース、システム利用状況といった制約条件を把握します。

出荷後のバグ件数は6ヶ月で1件以内にする、11月3日の夜間にローンチする、といった制約条件があると思いますので、これらをリストアップしておきます。

2.成功している未来(ビジョン)を描く

次に、制約条件下において具体的にプロジェクトが成功している未来を描きます。

例えば、以下のような成功している未来を具体的に定義していきます。

  • 管理経験を積んだ後輩がプロジェクト完了時にチームリーダーへ昇格する
  • ソフトウェアテスト自動化により開発効率が上がり、前倒しで開発を完了してお客様に喜ばれる
  • エンドユーザーにとって使いやすいUI設計にする

このとき、実現可能性にとらわれずにアイデアを出すことが、より良い未来が描くためのポイントとなります。

成功している未来を描く際には、ぜひプロジェクトメンバーと一緒にワークショップ形式で意見を出し合い、成功している未来を共有できると良いでしょう。

3.アクションプランを立案する

成功している未来の定義が終わったら現在に立ち戻り、未来に向けてアクションプランを立てます。

  • サブリーダーに管理者向け教育を受講してもらい高いレベルの役割を与えよう!
  • 新しいテストツールの効果検証をプロジェクト開始時に前倒しで実施しよう!
  • プロトタイプを作成してエンドユーザーの声を取り入れよう!

フォアキャスティングでアクションプランを立案するとどうなるか

ここで、フォアキャスティングで現状分析を積み重ねてアクションプランを立てた場合を見てみましょう。

  • サブリーダーの実力に合わせて役割を設定しよう
  • 過去の実績もあるので、テストツールは使い慣れたものを選択しよう
  • 少し操作性が悪いかも知れないが、デザイナーの要望どおりの画面設計で開発を進めよう

過去の実績や現状分析を積み重ねた計画では、このような守りのアクションプランになってしまうかも知れませんね。

これではメンバーが成長する機会も提供できませんし、新しい技術の獲得や優れたサービスの提供もできません。

まとめ

バックキャスティングを用いて導出されたアクションは、成功している未来に向けて一歩を踏み出す内容になっており、その方向性も既に定まっているのが特徴です。また、バックキャスティングの検討プロセス自体も楽しく前向きな気持ちで取り組めるため、複雑な問題解決や予測が困難な長期計画においても力を発揮します。弊社では今年の5月に、バックキャスティングを取り入れたCSVワークショップを新入社員向けに開催しました(ワークショップの様子については、こちらをご参照ください)。

バックキャスティングは欧州を中心に発展した手法ですが、近年では国内においてもフューチャーセンターやフューチャーセッションといった活動を通じて、メディアでも目にする機会が増えてきたキーワードです。
働き方、教育、コミュニティ形成といった日常生活の場面から、環境問題や社会問題の解決といった国レベルの複雑な問題にもバックキャスティングが利用されていますので、世の中の仕組みが少しずつ良い方向に改善されると良いですね。

身近な問題解決や夏休みの旅行計画を立てる際など、もしも良いアイデアが浮かばないときには、バックキャスティングを利用されてはいかがでしょうか。きっとその効果を体感できるはずです。