こんにちは!
キャスレーコンサルティング の臼田です!

普段の仕事はお客様先に常駐し、
エンジニアとしてシステム基盤の構築支援を行っております。

直近ではクレジットカード会社の自動音声応答システムの更改案件にアサインされ、
構築フェーズ後のシステムテストの支援に携わっております。

今回はシステムの話題からは少し離れ、
私がタスクオーナーを務める「CSV academy」というタスクチームで企画・運営した
「認定NPO法人 育て上げネット」様講演会について、レポートさせていただきます!

なぜ、社内でNPO法人の講演会を行ったの?

そもそもの話となりますが、
「CSV academy」とは何ぞや?と思われることと思います。

一言で言ってしまうと、
「CSV(共益価値の創造)のリーディングカンパニー」を目指す
弊社キャスレーコンサルティングが、「社会課題に志のある企業・団体」と共に、
社会を「もっと、よくできる」CSVビジネスを
創るきっかけを創出する 「タスクチーム活動」です。
(※タスクチームとは、自社の経営課題解決を目的に組成される特別なチームです)

主な取り組みとしては、社内外のステークホルダーと接点を持つことを
「ソーシャルエンゲージメント」と位置づけ、
 ①地域コミュニティとの協働 ②CSVの事例研究 ③社内の啓発活動
といった活動を有志の社員で日々行っております。

①地域コミュニティとの協働 の事例はこちら。
恵比寿の盆踊り大会を支える清掃ボランティアに参加しました! ~地域活動から社会課題を考える~

③社内の啓発活動 の事例はこちら。
CSV academy「ソーシャルエンゲージメント」 Vol.1:NPO法人soar(ソア)様

今回は、③社会課題の啓発活動 の一環として、
若者の就労支援に取り組むNPO法人の活動を知ることで社会課題への理解を深め、
また、タスクチームとして可能な支援を考える事を目的に、社内で講演会を開催しました!

「認定NPO法人 育て上げネット」様とは

お招きしたのは、「認定NPO法人 育て上げネット」様。

若者の就労支援、
とりわけ、様々な理由から「働きたくとも、働けない」という困難を抱えた若者が、
社会とつながるためのサポートに取り組まれています。

育て上げネットは、すべての若者が社会的所属を獲得し、「働く」と「働き続ける」社会を創るため、若者が安心を実感し、挑戦できる関係性ある場の提供と、広く社会全体で若者を応援する土壌を作っていきます。
「若者と社会をつなぐ」。これが私たちの果たすべき使命です。

(抜粋)育て上げネット:育て上げについて

講演会レポート① ~若者就労支援事業について~

講演会の様子をレポートしていきます!

残暑も厳しい8月某日夜、会場は弊社セミナールーム。

講師として、育て上げネット様で若年支援事業を担当されている
 平松 あす実 様
 武田 直弥 様
のお二方をお招きしました。

余談ですが、、お二人とも恵比寿ガーデンプレイスにいらっしゃるのは初めてのようで
弊社エントランスから見える、東京の夜景を満喫していただけたようで嬉しかったです!

「無業」の状態とは・・・?

最初に、平松様から「若者がなぜ「無業」の状態になってしまうのか?」
そして、育て上げネット様の事業を通じて、どのように「自立」へと導いていくのか
具体例を交えて解説いただきました。

「無業」の状態にいる若者の多くは、様々な理由から自信を失い、
“働きたくても、働けない”状態となってしまっているとのこと。

ここでは、3つのケースをご紹介いただきました。

1.学生時代の不登校をきっかけに就活するタイミングを失い、無業になってしまう

2.就活の失敗から、履歴書にブランクができてしまい、企業からも敬遠され、無業になってしまう

3.マイナーな特徴のため、社会に居場所を見いだせず無業になってしまう
 (例)セクシュアルマイノリティ⇒スーツを着るのが苦痛
   睡眠リズム障害⇒一般的な企業の勤務時間に合わせられない

「無業」は社会問題である

・・・これらのケースは、決して他人事ではないのではないでしょうか。

事実、参加した社員の中には、自分の子供が不登校になったという者もいましたし、
中途採用であれば、不本意な退職から履歴書のブランクが生じることもままあるはず。

セクシュアルマイノリティに関していえば、20人に1人が当事者と言われ、
200人程度の企業であれば、10人ほどが当事者である計算になります。

ご参考: 博報堂DYグループ:株式会社LGBT総合研究所 「LGBT に関する意識調査」 https://www.hakuhodody-media.co.jp/wordpress/wp-content/uploads/2016/05/HDYnews0601.pdf

睡眠障害に関しても、以前働いていた職場で、
ご家族の方が同様の症状を持っているという話を聞いたことがあります。

また、「無業」の若者を生んでしまう背景として、
親が外部に相談できずに家庭内で抱え込んでしまうケースがあるという事です。
これは、日本特有の「恥」の文化が大きく影響しているようです。

家庭内の「恥」を世間にさらしたくない・・・

私は子供はおりませんが、
同じ日本人として、そんな心情を理解できないわけではありません。

ですが、それが結果的に多くの若者が自立できないでいる原因になっているとしたら、
その点に関しては、残念でなりません。

統計によると、国内の若年層(15~39歳)3350万人のうち、
こうした「若年無業者」の数は、推定「300万人」と言われています。

育て上げネット様は、この問題を、無償のボランティアによらず、
有償のプログラムなどを通じて、社会として取り組むべき課題としてとらえています。

「無業」を解消する「ジョブトレ」

無業の若者の多くは、「働く土台」がそもそもできていないケースが多いとのこと。

一日8時間働けるだけの体力、
自分の気持ちを分かってもらった経験(これが無いと、他者への相談ができない)、
自分が役に立った経験、
等々、、

こうした状態の若者に、いきなり就職活動の支援はできません。
まずは土台の構築から始め、ゆっくりと関係性を築いていくのです。

若者が、今考えていることを棚卸しするサポートをするなど、
働く自信を徐々に構築していきます。

育て上げネット様は、

若者向けの就労基礎訓練プログラム「ジョブトレ」を有償で運営されています。

若年者就労基礎訓練プログラム・ジョブトレ

ジョブトレでは仕事体験などを通じて、若者が自信をつけるサポートを行っています。

失敗しても、人間として否定されることはないので、
積極的にチャレンジができるようになります。

また、若者が仕事体験を続けると、その仕事については、周りをサポートできるくらい
自信がつくのだそうです。

ジョブトレの仕上げとして、企業による若者のインターンの受け入れが行われます。

インターン先で自信をつけた若者は、その企業にそのまま就職したり、
自分で就職活動を始めるなど、社会人としての第一歩を踏み出していきます。

講演会レポート② ~ジョブトレ卒業生の体験談~

次のパートでは、実際に育て上げネット様の支援を受け、IT企業に就職し、
4年ほどSEや人事などを経験された後、
転職して育て上げネット様に入職し職員となられた異色の経歴を持つ、
武田様にお話しいただきました。

武田様は、高校時代の不登校が原因で、就職活動に失敗し、
約6年の間いわゆる「ひきこもり」を経験され、
通っていた心療内科に育て上げネット様を紹介されました。

その後、ジョブトレでの就労体験などを通じて徐々に自信をつけていき、
晴れて就業が叶ったそうです。

お話しぶりやエピソードの一つひとつから、元々生真面目で積極的に物事に
取り組んでいけるポテンシャルを、十分に持っていた方なんだなと感じました。

逆に言うと、そんな優れた資質を持った武田様のような若者が、ちょっとした躓きで
社会に出れずにいることは、本人にとっても社会にとっても、大変にもったいないことで、
それだけに、就労支援という取り組みの重要性を改めて感じました。

武田様の体験談は、講演を通じて最も質疑応答が多いパートでした。

参加した社員からは次々と質問の手が挙がり、時間が足りなくなるほど。
(時間の都合上、やむを得ず途中で質問を打ち切らざるを得ないほどでした!)

「IT企業に対してネットなどを通じてブラックなイメージは無かったのか」

「何故、IT企業を退職して育て上げネットに入職したのか」

「引きこもる前の自分に対して伝えたいアドバイスはあるか」

「どのように引きこもりを克服したのか」

・・・どの質問に対しても、自分の言葉で、しっかりと自分を客観視して
受け答えする武田様は、とても数年前まで引きこもっていた方とは思えないくらい、
自立したアイデンティティを持たれている印象を受けました。

講演会レポート③ ~企業との連携事例~

冒頭にも少し触れましたが、育て上げネット様は「ジョブトレ」の一環として、
以下のような企業との連携を取り入れています。

①企業交流会・・・年に一度、育て上げネット様の事務所で企業の方と一緒にワークを
 することで、若者が企業に対して持つ「怖い」というイメージを払しょくする。

②企業見学会・・・若者が企業に出向き、実際に社内を見せてもらったり働いている
 社員と話をしたりして、働くことに対するポジティブなイメージを持ってもらう。
  ⇒実は私は前職でコレを実施しており、若者から「IT業界で働きたい!」
   との声をいただいた経験があります!

③インターン受け入れ・・・就労支援の一環と言うとなかなか受け入れる側も
 大変なイメージがありそうですが、実際はジョブトレを通じて失敗を克服する力を
 培った若者を対象とするので、アルバイトを雇う感覚で問題ない、とのこと!
 例えばIT企業であれば社員の勤務時間のチェックや、ちょっとしたPCの設定など、
 無理なく出来るところから入るのだそうです。

④企業講話会・・・採用ありきで考えている企業が、会社説明や
 社員の失敗談などを語る会です。
 若者は自分たちに向けて語ってくれることで安心感を感じ、
 応募のハードルが下がっていくそうです。

⑤若者応援パッケージ・・・ジョブトレの費用を企業が寄付で賄う制度です。
 西友は年間12億円ほど支援され、更に5日間の店舗実習も行っているとのこと。
 企業側も若者が入ることで、現場の空気が活性化されるメリットもあるそうです!
 西友/ウォルマート・ジャパン 若者就労・応援パッケージ「西友パック」

IT企業との連携事例

更に、IT企業との連携事例までお話しいただきました。

・日本マイクロソフト
Micro Office製品の使い方講座を無料で提供しています。
(ハローワークにも導入されているようです)

・Google
 企業見学のほか、「ジョブトレIT」を立ち上げるための
 助成を3年間行っています。
 ※「ジョブトレIT」は、IT業界で求められる基本的なスキルを段階的に身につけ、
  インターンを体験する短期プログラムです。

・ソフトバンク
 「ペッパー君」の貸し出しを行っています。
 (育て上げネット様の事務所エントランスに置いてあります!)

・CISCO
 高価な情報機器等を、ネットワークの学習用に提供しています。

CSV academyでも、企業交流会や見学会などを通じて、
“若者の応援+社員の社会参加” に関わっていければと、私個人は考えています。

参加した社員の感想より

講演の最後に、参加した社員にアンケートを取りました。

こちらに、一部ご紹介させていただきます。

「他人の成長を見ることが楽しいと思えることが、すごくいいなと感じました。
将来、自分も弱い立場の人たちを助けていけるような活動ができたらと思います」

「こちらにとっては当然のことでも、当人がわからない場合、
それは強い不安要素となりえるということが、考え方として、とても新鮮でした。
微力でも関わっていきたい団体と感じます」

・・・他にも、若者の就労支援の実情が知れて有意義だった、 武田様のお話が印象的だった、等々
好意的な意見が多くみられました。

終わりに ~若者支援がCSVな理由~

社会的弱者として支援が必要な存在としては、社会一般の通念として、
「子供」「高齢者」「障碍者」などがあるでしょう。

一方で、「若者」については、これまで、支援が必要な対象とは
見なされていなかった傾向がありました。

いわゆる「ニート」「引きこもり」の若者に対して、世間一般の目は、厳しいようです。

「就活の失敗、人間関係が上手くいかないって、それ自己責任でしょ」

「いい歳をして、甘えている」

等々、、、

しかし、講演を通じて見えてきた若者の躓く原因は
実は、私にも、このブログを読んでいるあなたにも、
誰にでも起こりうるものでは、なかったでしょうか?

私たちは、今までの人生を通じ、学校や職場、あるいは家庭で、
様々な困難に直面し、それを乗り越えてきました。

でも、もし仮に、それを乗り越えられず、躓いてしまっていたら、

今のあなたは、どうなっていたのでしょうか。

・・・そう考えると、過去に躓いてしまったことが原因で、
不本意な形で無業となっている若者を、脱落者と決めつけ、見て見ぬふりする。
本当にそれでいいのでしょうか。

育て上げネット様の創業者であり理事長の工藤 啓(くどう けい)様は、
若者支援について、このように述べられています。

「若者支援は社会投資です。」
「投資活動は経済的リターンを求めるものです。
しかし、社会投資は、個人が有する情熱や時間、知識や技術によって、
社会に変化を起こすこと、これがリターンになります。」
「無業の若者が望む社会への参加と経済的な自立を応援、
実現することは、若者が納税者として社会を支える側に立つことであり、
生活者として地域を担う存在になることです。」

参考: 育て上げネット:代表挨拶

工藤様のおっしゃるように、支援が必要な若者に手を差し伸べることは、
若者自身が未来を切り開く、助けになるだけでなく、
私たちの暮らすこの社会そのものを、よりよいものへと変えていく行為にほかなりません。

無業の若者を放置し、将来的に生活保護などの「受け手」になってしまえば、
当然のように社会保障費は増大し、私たちの家計を圧迫するでしょう。

しかし、そうした若者が職を得ることで、
その後何十年にもわたって、財やサービスを生み出す納税者となれば、
社会の「支え手」が増えることになります。

言い換えると、若者支援は、それ自体が、
社会的価値と経済的価値の両立を目指す、CSVビジネスに繋がっていく可能性もあります。

・社会的価値=若者が社会から必要とされ、生きる場所を得る

・経済的価値=税収の増加 + 社会保障費の抑制

今回の講演をきっかけに、
参加した一人一人の社員が、
若者支援を自分事としてとらえ、
CSVで発想しアクションを起こしてくれることを、
願ってやみません。

お越しいただいた、平松様・武田様、
本当にありがとうございました!

臼田 輝生
CSVIT事業部 臼田 輝生
システム基盤の構築に携わるインフラエンジニア。国際協力団体などのボランティア・プロボノでの経験から、企業とNPOの連携によるソーシャルインパクト創出を目指す。准認定ファンドレイザー、CSR検定2級。